うみないび



落ちこぼれのない教育-フィンランド訪問レポート②

 2月22日(水)、ヘルシンキの気温は-4℃、那覇との温度差は20度以上です。二人とも元気で早朝からデジタルカメラとビデオカメラを回しながら、ホテルのすぐ近くにある国会へ出かけました。8時前というのに職員らしい人達が次々と建物に入って行きます。
その後、駅前近くの近代アート美術館まで行きましたが、午前8時ではまだ開館していないので、ホテルに戻りました。
 9時30分、通訳のグスタフソン美砂子さんが迎えにきました。今日はヘルシンキにある教育省でフィンランドの教育事情と起業家育成など、ブリーフィングをしていただくことになっています。
 10時、教育文化庁国際交流課参事官のフレデリック・フォルスベリさんと、国家教育委員会義務教育課担当官のクリッセ・ハンネンさんに話を伺いました。今回はフォルスベリさんのご尽力でカッリオマキ教育大臣への表敬訪問も実現しました。
 フォルスベリさんは大の日本びいきで名刺には丁寧に「滝山風呂」さんという日本名(?)も添えられています。以下、フォルスベリさんとクリッセ・ハンネンさんのブリーフィングを紹介します。

平等で公平な教育・教員資格は修士 
 フィンランドは2000年および2003年に行われたOECD(経済協力開発機構)の15歳児を対象とした学習到達度調査で優れた成績をおさめ、義務教育を成功させている国として注目を集めています。
 まず国家予算のトップは福祉予算であり、その次にくるのは教育予算で、国家予算の約16%(対GDP比4%)を占めています。
 フィンランドの教育は「公平性」と「平等性」が重要で、国民に対して平等な教育の機会を与えています。義務教育は9年間すべての子どもが均等な教育を受ける権利を法律で決めています。
 それは全国レベルでの平等というだけでなく、学内でもすべての子どもが同じレベルに到達するような手立てをする。つまり、子ども一人一人が理解の得られる授業になっているか、もし理解にバラツキがあるときは学校で補習授業をします。学校での補講は珍しいものでも恥ずかしいものでもなく、家族が学校と協力して、すべての子どもが同じレベルに到達できるようにする。落ちこぼれをなくしていく教育のやり方で、フィンランドでは早期から子どもをレベル分けせずに15歳から16歳までに、すべての子どもが同じレベルに達することに焦点を置いて教育をしています。
 そのような子どもたちを育てるには、やはり何といっても教師のレベルの高さが不可欠です。教員資格は修士号を必要とし、学級担任の先生も教科担任の先生もすべて修士号をもっています。専門分野の専門性だけでなく、学級担任として必要な養成課程も経た上で修士号を持ち、また教員の現職研修も行っています。
 国はナショナル・コア・カリキュラムを編成し、教育目標、到達目標、授業時間数を定め、自治体または各学校が履修計画を立てています。
教育の水準管理や評価を担うのが国家教育委員会ですが、今は、達成状況の管理は各自治体が行っています。2000年になってから、6歳児の就学前学級が積極的に推進され、義務ではありませんが就学率は96%であり、無償で行われており、働く母親が多いため学童保育も行われています。
 1994年の教育課程制度の改革以降、より自由な科目編成が学校側に与えられるようになりました。
 国家予算は福祉予算の次に教育予算がくるということでも分かるように、義務教育は教科書や給食を含めて、全児童・生徒に無償で提供されています。全学校の1%は私立学校ですが、公立学校と同じように国の指導基準に従わなくてはなりません。

 総合学校は9年制で、6年制の初等課程(日本の小学校に相当)と3年制の中等課程(日本の中学校に相当)に分かれ、総合学校を修了した生徒はすべて大学・職業大学に進学する資格が得られます。さらに進学を有利にするためにもう一年(10年生)在籍することもできます。(別添の図を参照)
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 フィンランドには総合大学10校と単科大学10校の計20の大学があります。その他、ポリテクニク(職業専門学校)を昇格させた総合職業教育大学もあり、運営は国家予算(57%)および自治体予算(43%)で運営されており、授業料は無料であり、様々な専門職に適した学位保持者を養成するようです。

30年間の努力の成果・教育大臣 
 約1時間30分ブリーフィングを受けた後、カッリオマキ教育大臣への表敬訪問を行うことができました。教育大臣は体育教師の資格も持つかつてのオリンピック選手です。何度も日本を訪問されたということです。
 カッリオマキ教育大臣は、「沖縄の問題については聞いていますが、これは日米間の問題だと思います」とコメントされました。そして「教育問題についてはPISAの調査のおかげで全世界からたくさんの方が見えています。特に日本からたくさん見えています。PISA(国際学力調査)の結果というものが、実は70年代の30年間の努力の結果であると信じています。生徒・個人に平等に教育を施してきた結果だと思います」と話して下さったことが心に残りました。
 学校教育とは、国家戦略の中で明確に位置づけられ、国としてどのような若者を育てていきたいという大きな目標を持ち、それに向けて確実に努力し、そしてその成果が現れている国であるとの思いを新たにしました。
 
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教育省の皆さんと昼食懇談
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by keiko_itokazu | 2006-03-31 15:51 | diary
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